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遺言、相続手続きのスペシャリスト 帯安行政書士事務所

相続お役立ちコラム 〜大切な人が亡くなったとき〜column


第7章 ー 故人が事業を経営していたとき





 お店や会社の場合、売掛金・買掛金・従業員の賃金・福利厚生等、リースしている物、家庭にはないような設備等があります。
 なお、本章ではお店や会社を廃業することを前提とした記載をしております。
 事業等を承継される場合については、性質上、世の中には様々なサービス業があり、例を細部まで列挙すると際限がなくなりますのでここでは割愛しております。





【目次】

従業員さんに手伝ってもらう
売掛金・買掛金
店舗等を閉鎖する際の原状回復(店舗内の整理作業)
使用可能な物を第三者へ譲渡(NPOなど)
事業的な借入金がありそうなときの対応
債務超過のとき
行政関連の対応(許可証なども含む)
故人のお店等が法人(会社等)だった場合
不動産事業(大家さん)をしていた場合




■従業員さんに手伝ってもらう

 もし従業員さんで残務の手伝いをしてくれるような方がいらっしゃれば、その方に相応の金銭を給付して(給与額くらいの)、手伝って頂けると飛躍的に労力も減り、処理速度も早まります。


■売掛金・買掛金

 先ずは、取引先のリストを作りましょう。
 売掛での取引先には事情を説明し、直ぐに請求書を作り送付となる流れだと思います。
 買掛の取引先にも同様に事情を説明し、直ぐに請求書を送ってもらうようになると思います。

※葬儀に参列頂いた取引先などある場合は、併せてお礼を伝えると、後の話の流れもスムーズになり易いです。「この度はご迷惑をおかけしております」で始まり、「今まで大変お世話になりました」と、当たり前の順番を手堅く遵守して話が(数が多い時は手紙など)終わると、売掛も買掛もスムーズに処理が進み易いです。


■店舗等を閉鎖する際の原状回復(店舗内の整理作業)

 種類や規模の違いはありますが、基本的には「第4章の家財道具等の整理作業」や「第5章の公共料金等」と殆ど同じです。規模や種類の多さに不安を感じる時もありますが、自力でも業者へ委託しても、落ち着いてやればそれがわかってくると思います。もちろん、家庭とは違い、お店等の場合は第三者の協力・委託の割合は多くなると思います。

(廃棄物について)
 家庭ごみでなく「事業ごみ」となります。事業ごみは家庭ごみの処分より割高になります。市区町村からその地区の委託を受けている業者もいますが、事業ごみの処分については委託業者以外のところにも依頼できるようです。会社の所在地や様々な条件で金額に開きがある場合も時々あります。何社かから見積りをとってみても良いと思います。


■使用可能な物を第三者へ譲渡(NPOなど)

 事業用の設備等は一つ一つが家庭用より高額なことが多いです。一例ですが、天災等で店や住まいを消失した方向けに、NPO法人などを通じて、設備等を譲渡できるような案内も意外に多くあります。故人の品を売却するよりも、必要な人の手で活かしてほしいというお考えがある人は、こちらも一考でしょう。ボランティアの方が大きな車両に乗って複数で来てくれて、引取運搬を無償でしてくれることもあります。
※運搬や日程など総合的に譲渡が難しい時は無理して譲渡しなくていいと思います。


■事業的な借入金がありそうなときの対応

 債務関連と思われそうな郵送物等があるときは(金融機関や取引先など)、まずは金融機関には借入金の残高証明書を交付してもらいましょう。
把握できている取引業者・金融機関・その他関係者(借入とは関係のない取引先など)には、郵送等で廃業の通知を出しておくことをお勧めします。その通知により、必要なことを先方から問い合わせてきてくれる場合もあります。
※ただし、電話・郵送物・突然の訪問などで、総合的に考えて大なり小なり首をかしげるような債務、何年も前の債務などを支払ってほしいなどと言う類の請求があった場合は、理由の如何を問わず、その場では払うとも払わないとも答えないでください。書類等に記名や押印を求められても、その書類の内容の如何を問わず、記名も押印もしないようにしてください。

(模範的な回答例↓)
「事務的で申し訳ありませんが、こういったお話が生じたときは身内全員で協議をするという取り決めがありますので、この場でお答えは一切できません。債務の根拠となるような書類をお預かりしますので、身内全員と本日の事を相談してから御回答いたします。ご連絡先とご担当者様のお名前を頂戴できますか」
と、何を言われても、この回答の一点張りでその場は通しましょう。
もちろん、こういった対応が失礼に当たる場合もありますが、一般的な金銭等の貸し借りの場合は、突然電話や訪問で性急に支払いの要請等をしてくることは少し考え難いと思われます。急に支払いの約束を相続人と取り交わそうとしている時点で、失礼承知で少し疑うくらいで丁度良いと思います。思い過ごしであればそれに越したこともありません。こういったことは独断でなく、全員で慎重に事を進めるように心がけましょう。後に失礼に当たってしまった部分はお詫びすれば済むことです。


■債務超過のとき

・故人の財産(個人名義の不動産や預貯金等及びお店や会社等の財産すべて)がマイナスになるときは、そのすべての故人の財産について、相続の放棄を検討することにもなります。
・相続放棄をしない場合は、返済方法について先方との協議が必要になります。
・返済が困難である場合には自己破産や民事再生の手続きも考える必要が出てきます。

 相続の放棄・自己破産・民事再生等の各手続きは裁判所の管轄になります。自力で手続きをされる場合は裁判所に赴き相談をすることになります。ただし、時間的・労力的に難しいときや、その数や難易度から自力では難しいという場合、弁護士や司法書士に相談されることをお勧めします。


■行政関連の対応(許可証なども含む)

 会社やお店の保険関係は、日本年金機構に問い合わせてみると良いと思います。
 準確定申告と言う手続きもありますので、こちらは税務署へ問い合わせてみると良いと思います。
どちらも、「こういう書類があれば持参してほしい」と言われると思いますが、あるものは持参し、ないものは「ないです」「直ぐには見つからないと思います」等とつたえれば、ケースに応じて詳しく丁寧に手続きを教えてくれます。説明を受けた上で自力での完結が難しそうな場合は、前者は社会保険労務士、後者は税理士の専門分野になります。個人のものと比較にならない労力になることも多いので、数が多く内容が複雑な場合、無理せず各専門家に相談した方がよいと思います。

【許可証等】
 営業許可証や、資格証(例:飲食店なら食品衛生責任者)は、各行政窓口に電話すると教えてくれます。くだけたベテランの職員さんだと「返却してもらっても受取りますが、本人による資格の更新(3年とか5年とか)がされなければ効力を失うので、返却でもそのままでも結果的には同じです。」といった話になることが多いです。確かにその通りです。


■故人のお店等が法人(会社等)だった場合

 お店が法人(会社等)の場合、細部は割愛しますが、経理帳簿関係の書類整備や、法務局に保管されている会社の商業登記簿の内容を変更しないといけない問題が生じます。
これらについては、登記手続きの専門家である司法書士や、財務・税務関係の専門家である税理士に相談することをお勧めします。
 理由としては、個人の手続きであれば、手続きに不備があっても身内間で収まります。
しかし法人の場合、手続きに不備があると、その影響が様々な方面に派生する可能性もあるからです。大量で難易度の高い手続きを、周囲へ影響を生じさせることなく迅速に完結するには、やはり専門家へ相談・依頼するのが現実的だと思います。


■不動産事業(大家さん)をしていた場合

 故人が大家さんだった場合ですが、基本的には賃借人(アパート等の住人やテナントさん)へ、賃貸人(大家)が変更した旨の通知をします。
いわゆる赤字経営(アパートの建設費用のローンよりも賃料収入が下回るときなど)で相続人のどなたも事業を引き継がないという場合は、賃借人へ賃貸借契約終了の申し入れをすることになりますが、中には契約終了に合意したくないといった賃借人の方も出てくると思います。契約終了という方向で対応する際は少し労力が必要になるかもしれません。
 相続人の全員が相続放棄をした場合は、相続財産管理人の選任申し立てをします(家庭裁判所へ)。相続放棄や相続財産管理人の申し立てについては、家庭裁判所や弁護士・司法書士へご相談されることをお勧めします。

 誰が相続するか決まるまでに生じる家賃収入は、本当は共同相続人である皆さんの相続分に応じて各自取得できるものですが、相続人の話し合いが終わるまで賃借人の方へ家賃の3分の1はA銀行、もう3分の1はゆうちょ・・・というのも現実的ではありませんから、遺産分割協議が終わった後、その協議内容に応じてご清算されるのがよくお聞きする手順です。



     第6章・賃貸物件の明渡し
     第8章・公的書類と遺産分割協議書の関係、様々な専門家(士業)

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